こと、この2つに単純化される。この実名の代りに、その角度を決める対角線の実長を求めてもよい(図2.1.2)。
このように空間にある形状の特徴と性質を直感的に考えつくことが、展開を理解する早道である。
この空間形状を直観でつかむようになるには、例に挙げたように大根や羊かんを切って体験するまでもない。造船現場には、その修練:イメージトレーニング(Image
Training)の題材が多くある。
「現図は用もないのに現場をうろうろするな」ではなく「現図は仕事を磨くために現場を見よう」と励ましておきたい。
図2.1.2
この感覚の有無は、正面線図上のLong.Fr.(Longitudinal Frame)の断面作画に見取ることができる。形鋼断面のウエブ深さは正規に求められているが、フランジの長さと角度は無視されている例が多い(図2.1.3)。一般にLong.Fr.の貫通部はOpen
Slotであり、ランディング(Landing)でのLongとTransとの斜行は少ないから、精度上の問題とならず、ウエブ深さのみ作業手順として伝えられてきた結果であろう。
また別事例(図2.1.4)として、
で、「容貌が気に入らない」
と撥ね返している現図熟練工の声を聞いたことがある。まず形状の性質から納得がいかない、というのである。型作成者が展開作業をやり直したら、やはり間違っていた。
これらの事例からも、展開作業は、定性推察から定量確定へ進めるもの、と学び取ることができる。
図2.1.3
図2.1.4
1.3 現図空間は格子枠
空間はそのままでは漠として捉えどころがない。形状を定量化するには、なんらかのより所がいる。
造船現図では、このより所を空間格子枠としている。
船のW.L.(Water Line:水平面群)⇒水平格子
B.L.(Buttock Line:縦断面群)⇒縦格子
F.L.(Frame Line:横断面群)⇒横格子
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